10月24日(金)に、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の新竹積教授の講演を拝聴しました。
テーマは「未来の自然のエネルギー」でしたが、内容の大半は教授の生い立ちに関するものでした。
教授は現在海流発電の開発に携わっており、新たなエネルギー資源として世界的に注目されています。
これまで教授が“ゼロ”から生み出したものとして、C-band加速器を用いたX線自由電子レーザー(SACLA)の建設があります。
SACLAは構想から20年余りの歳月を費やして完成し、2011年6月に線波長での「レーザー発振」に成功しました。
その開発の舞台裏を聞くことができ、非常に感銘を受けました。
このSACLAの生み出す新しいX線は、それまで存在していた他の発生装置よりも遥かに安定度が高く、原子レベルで物質の構造や機能を解明する手段として、科学、技術、産業におけるあらゆる課題を解決に導くと期待されています。
もうひとつ、教授が生み出したものに、量子波効果を用いた電子顕微鏡があります。
この新しい電子顕微鏡は新竹教授を中心としたOIST研究グループによって開発され、生物試料にダメージを与えることなく原子レベルの観察を可能にします。
近い将来、その詳細がまだ明らかになっていないウイルスの構造が解明され、ウイルス感染を抑制することが可能になるかもしれません。
昨今、巷を不安にさせるようなニュース、例えば、川内や東北をはじめとする原発問題や、未だ対処法が解明されていないエボラ出血熱など枚挙に暇がありません。
ひょっとしたら、この問題を新竹教授の研究がきっかけとなって解決できるかもしれません。
科学者には、人々の生活を根本的に変える力があります。
その分、成果が出るまでに一生かかるものもありますし、人生を賭してもゴールに辿りつけないものもあります。
「かもしれない」という不確かなものに挑戦する点でいうと冒険にも似ているように思えます。
しかし、私達の安全な生活は、先人達の様々な発見や発明によって成り立っています。
自分の今の生活に感謝しようと思える良いきっかけとなった講演でした。
SS